ソニー・CDウォークマンD-E505修理誌






今回のお題はソニーのCDウォークマンD-E505です。
これは弟が使っていた物なのですが、故障したという事で僕が譲り受ける事になりました。
外観


さて、故障の症状ですが観察すると、
1:「本体側は何のボタンを押しても無反応」
2:「リモコン側はホールドにしてる時のみ液晶にHOLDの文字が表示。他は無反応」


最初は無反応なので電源周りの故障かと思ったのですが、
よく観察するとリモコンのHOLDの文字が出るので電源周りじゃないと推測。

中を見る限り、特に足が浮いたりパターンが切れたりもしてないのでチップの故障かとおもったのです。
・・・・・が!、そうではなく、フタに液晶とボタンがついてるので、フタの付け根にフレキケーブルを這わせてたのです。
なんと、そこが断線してる事が判明。
フタを開けたとこ 液晶ユニット


でも、症状は無反応。
断線だとせいぜいボタンが効かなくなる程度だろうに・・・と思いつつも調べてたら
ケーブル2番、3番にはボタンを無操作でも10kオームの抵抗がかけてある事がわかりました。
つまり、こういう仕組みだったのです。
切れたケーブルの箇所



再生しようとする

本体液晶部から10kオームの信号が来ない。

無反応。


ってわけです。
では、10kオームの抵抗を入れるとどうなるか・・・
見事に動きました。(笑)


修理ってわけではないですが、一応動くレベルまで直す事ができました。
次に相手はポータブル再生機のため、普通の抵抗じゃ大きすぎてスペースの問題が発生する事です。
適当に抵抗を置ける場所を探す必要があるので、パターンを追っていると、
ちょうどチップ抵抗を取り付けるような場所を見つけました!
ドリキャスのコントローラー改造の時に余ったチップ抵抗も10kオームだったのでそれを使う事にしました。
基板裏面の写真 チップ抵抗取りつけ位置


以上で組み立ててしまえば、修理(?)は完了です。

・・・しかし、今回の修理には疑問がのこりました。
なぜ、チップ抵抗をちょうど取り付けれる場所があったのか・・・・。
もしかすると共通基板で本体の液晶無しモデルでもあったのでしょうか??
それとも・・・・。(意味深)
こういう場合は高周波数を出しててプルアップのためだとかもあるんでオシロとか持ってたら計測してみたいものですね。



P.S.
その後、ソニーに補修部品扱いでフレキケーブルの扱いができないか訪ねたところ、
液晶ユニットとしての扱いになるそうで、ケーブル単体での販売は不可とのこと。
値段の方は5500円に代引き手数料800円を足した6300円になるそうです。
まぁ、液晶が入るのでこの値段なのでしょうが、ちょっと考えてしまいますよねぇ(^_^;)
ちゃんと、完動品にはなりますけどね。
しかし、機器の小型化と同時にフレキケーブルの技術進歩のすごさには参りますね。
導線なのに昔みたいに切れたらリード線で繋ぐ・・・って時代が終わったのを感じました。
日経で読みましたがこれからますます加速していき、ナノ単位のフレキケーブルやらもできるとか。
ますます個人での修理が衰退していくのはいささか寂しい気もします。
フラットケーブル


使った物
部品名 個数
ソニーCDウォークマン D-E505
チップ抵抗(10kオーム)


技術的な話し


ポータブル機器のヘッドフォンの途中についてるリモコンの情報転送方法には大きく分けて2つあり、
1つは抵抗値方式、もう1つはデジタル方式です。
抵抗値方式は字のまま、抵抗の値で押したボタンの信号を識別する方法です。
デジタル方式はデジタル回路を設け、Hi、Loのタイミング等で判別する方法とマイコンを使い制御する方式などです。

今回のソニーのCDウォークマンの修理箇所は抵抗値方式で、何も押してない時にはフレキケーブル2番3番間に10kオームの抵抗がかかります。
ボタンを押すと随時、2番3番と4番間がそれぞれの抵抗値に変動する仕組みです。
回路図は以下の通りです。(BMP版はこちら)
回路図
例えば、SW1を押した時は3番4番間はR1のみの10kオームの抵抗がかかり、 2番4番間は0オーム。
SW4を押した時3番4番間はR1+R2+R3+R4の抵抗、すなわち14.7kオームの抵抗がかかり、
2番4番間はR1を除いた4.7kオームの抵抗がかかってる事になります。


デジタル回路式については複雑になるので今回は割愛させていただきます。
まぁ、そのうち別の分野で簡単な解説する事になると思うのでお楽しみに〜♪(でもいつになるのか解らないのであんまり期待しないでね。(笑))




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